僕は、イオンモール幕張新都心の屋外ステージで行われるフリーライブを、買い物ついでによく立ち止まって見ていました。
巨大モールの開放的な広場に音響が響き渡り、通りすがりの人たちが次第に足を止め、即席の観客席ができあがっていく――そんな独特の空気感が好きだったんです。
その中でも印象に残っているのが、DEEPや谷本貴義さんの生ライブでした。
特に谷本さんのステージは、アニメソング特有の熱量が会場全体を包み込み、
子どもから大人まで一緒に拳を上げて盛り上がっていたのを覚えています。
僕が観たのは、ちょうど『ドラゴンボール改』の主題歌「Dragon Soul」や「空・前・絶・後」を歌っていた時期。2014年のシングル『空・前・絶・後 Kuu-Zen-Zetsu-Go』リリースに合わせた野外ライブのタイミングで、
CD発売の告知とともに披露されたパフォーマンスは、まさに“本物を目の前で体感している”という感覚でした。
ライブの途中、谷本さんが客席を見渡しながら「そこのオレンジの服を着ているキミ!」と声をかけた瞬間、周囲の視線が一斉に僕へ。
ドラゴンボールといえば、悟空の道着を思わせるオレンジ色。
たまたま羽織っていたオレンジの上着が、ステージからもひときわ目立っていたようです。
結局、ステージに上がったり会話をしたりすることはありませんでしたが、
何人もいる観客の中で一瞬でも指名されたあの感覚は、くすぐったいような誇らしいような、
不思議な高揚感がありました。
「ただ見に来ただけの一人」だった僕が、ほんの一瞬だけライブの一部になれた
――そんな小さな出来事が、今でも鮮明に記憶に残っています。

※写真はイメージです。
オレンジの服で指名された日――イオン幕張新都心で体感した谷本貴義ライブの奇跡
Stay connected