強い言葉での指導が持つ力とは? 〜「〇〇ないとダメだ」という表現の活用方法〜

「〇〇ないとダメだ」「〇〇しないとダメだ」「できないとダメだ」

──このような強い表現を聞くと、少し威圧的に感じる人もいるかもしれません。

しかし、実はこの「〇〇ないとダメだ」という二重否定の表現は、

相手に強い意志を持たせる、

つまりアファーメーション(自己暗示)効果をもたらす可能性があります。

 



特に、武道やスポーツ指導の場面では、

具体的で強い表現が技術向上に役立つ場合があります。

ここでは、少林寺拳法の指導を例に、

こうした表現の効果や工夫するポイントについて解説します。



少林寺拳法の指導における「〇〇ないとダメだ」の効果

少林寺拳法の指導では、技の正確さやフォームが求められます。

例えば、

「ここをこうしないとダメだ」

「上中二連突きをする時には前足を曲げて重心を落とさなきゃダメだ」

といった強い表現を用いることで、生徒に必要なポイントを明確に伝えることができます。

 



このような表現は、単に動作を強調するだけでなく、指導者の強い意図が感じられるため、

生徒にとっても「やらなければならない」という意識が芽生えます。

そのため、アファーメーション的な効果があり、

生徒が自信を持って技を実践しやすくなります。



「〇〇ないとダメだ」がもたらすアファーメーション効果

「〇〇ないとダメだ」という二重否定の表現には、肯定的なメッセージが隠れています。

たとえば、「この姿勢をとらないとダメだ」という言い方は、

裏を返せば「この姿勢が成功への道だ」と伝えているのです。

こうした表現を使うと、

相手は「自分はこれができる」「やるべきことが明確にわかる」といった

自己肯定の気持ちを持ちやすくなり、より前向きな姿勢で練習に取り組むことができるのです。



生徒へのプレッシャーにならないように気をつける

ただし、強い表現は相手によってはプレッシャーやストレスを与えてしまう場合もあります。

特に、初心者や年齢が若い生徒は、失敗に対する不安を感じやすく、「ダメだ」という言葉が重くのしかかることがあります。

こうした場合には、表現を少し柔らかくしたり、

ポジティブなフィードバックと組み合わせる工夫が大切です。

 

例えば、「ここをこうしないとダメだ」と言った後に、

でも、ここをしっかり押さえられれば、もっとかっこよく決まるよ」と付け加えることで、

生徒は安心して挑戦できるでしょう。



理由を説明し、納得してもらうことの大切さ

指導の際、強い表現を使うのは有効ですが、なぜその動作が必要なのかを説明することも重要です。

「重心を落とさなきゃダメだ」と指示するだけでなく、

「重心を落とすことで安定感が増し、相手に対して強い圧力をかけられる」という理由を付け加えれば、

生徒はその動作の重要性をより深く理解できます。

納得することで、動作を自分のものとして吸収しやすくなり、成長が早まります。



柔軟に使い分けることが指導力のカギ

「〇〇ないとダメだ」という強い表現は、確かに生徒にとって効果的な場合が多いですが、

全員に同じように使うのは避けるべきです。

生徒の性格や成長段階を考慮し、時には「少しずつやってみよう」

「ここができたら次に進もう」といった柔らかい表現も交えましょう。

生徒が意欲的に技術向上に取り組むためには、モチベーションを高め、継続して挑戦できる環境を整えることが大切です。



まとめ:効果的な指導にはバランスが大切

「〇〇ないとダメだ」という強い表現には、技術を習得するための明確な意志を伝える力があります。

しかし、相手の特性を理解し、時には柔軟な表現に切り替えることで、生徒が安心して成長できる指導が可能になります。

強い言葉と柔らかい表現のバランスをとることで、より効果的な指導が実現できるでしょう。